化粧の力を引き出すポイント

高齢者の方にメイクをすると元気をもたらせてくれます。

ですが、高齢者に対する化粧の効果は、単に化粧をしたからといって得られるものではありません。

そこにはコツがあります。

大切なことは五感を通じて脳に働きかけるということで、周りのスタッフの役割もとても大きな意味を持っているのです。

中にはメイクをしても反応が少なかったり、まったく反応されない方もいます。

外部刺激に対して、反応が薄くなっていたり、眠ってしまっている情動を呼び覚ますには、外からの働きかけが大切です。

「ほら見て、きれいでしょ」というスタッフの声かけがあって、初めて「あ、本当だ。きれいだ」と感じていただけるようです。

ここではメイクの質より、むしろ周りのスタッフの役割が大きいといえます。

次に大切なことは継続性です。

化粧療法として効果を引き出すためには、継続的に脳に働きかけることが重要です。

メイクをしてあげるというスタンスでやっている人にとっては、人はボランティアとしての社会貢献と感じるかもしれませんが、それは自己満足の世界です。

入所されている人がメイクを通じて元気になっていただくことを目的とするなら、自分で化粧ができる人は自分でできるように指導することが重要になります。

そのためには、その人なりに毎日できる簡単なメイク方法を教えてあげる必要があります。

その時は決してフルメイクのような難しい化粧は必要ありません。

口紅を塗るだけでもいいでしょう。

あるいは老人ホームや老人保健施設のスタッフの人達が、入所者にメイクをしてあげられるような技術の指導が必要になります。

また、メイク指導だけではなく、脳に働きかけやすい環境づくりの指導も必要です。

鏡を多く配置するとか、スタッフがメイクした顔をほめる習慣づくりです。

これからますます高齢化社会になっていって、女性が長く人生を楽しむようになるのなら、女性ならではの化粧というものの価値を大いに活用することを考えていきたいものです。

大いに化ける

隠すメイクによるストレスからの解放は、健康な人でも知らず知らずのうちにその恩恵を受けています。

あなたはすっぴんで近くのコンビニへ行ったり、突然、宅配の人が来たときに、思わず視線を合わせないように下を向いてしまったという経験はありませんか。

これもメイクの隠す効果の裏返しです。

メイクには自分の欠点を隠す効果があります。

例えば、目の小さい人は目を大きく見せることができるし、肌の色むらがある人は肌色を均一に見せることができます。

一度メイクを始めたらやめられないというのは、ここにその理由があります。

逆にこれこそがメイクの力で、女性はこの力を大いに活用すべきです。

よく男は「女性は化粧で化ける」というような揶揄した言い方をすることがありますが、これは自分で化けることができずに老いをさらけ出す男の浅はかな嫉妬の言葉だと思ってください。

化粧で化けるのは、平安時代から続く化粧の原点であり、自分の価値を高め、精神的高揚や安定をもたらす、女性ならではのとてもよい方法です。

女性は大いに化けるべきです。