美人の地域差

日本の歴史から見た美人といえば、やはり世界三大美女の一人、小野小町を連想される方が多いのではないでしょうか。

小野小町は、現在の秋田県湯沢市に生まれたという説があり、当地には、小野小町にまつわる建物や、「あきたこまち」というお米の品種、秋田新幹線にも「こまち」の名称がつかわれています。

秋田といえば小野小町の他に秋田美人という言葉もあります。○○美人という言葉は秋田以外でも「越後美人」「加賀美人」「京美人」をはじめ、その他○○美人と名のつく地域は多く存在しています。

これらはいずれも日本海に面しているところに限定されているようです。

この反対にいわれるのが「富士山の見えるところに美人がいない」という言葉で、美人がいない場所が太平洋側に限定されています。

これは紫外線の多さに由来しているらしく、確かに紫外線が肌の老化の一番の原因であることの証明かもしれません。

日本海側は日照時間が短く、湿度も高いために色白で潤った肌が保たれ、反対に太平洋側は日照時間が長いために紫外線を多く浴びることになり、このため、肌にシワやシミが早く現れることに由来するのでしょう。

まさに美人の条件として「色白」が大いに関係しているということです。

庭野薮椿の論文「秋田美人考」の中に、湯沢市の医師である杉本元祐が高校三年生の女子数千人を対象に調査した結果として「秋田県の若い女性は白く美しい艶のある皮膚をしていることが、全国的美人の水準をぬいている」ということが書かれています。

この調査は一九五五年のデータですが、世の中はちょうど小麦色に日焼けした肌が流行し始めたころで、当時は紫外線が害であるという意識もなく、未だ日焼け止め美しく、若々しく化粧品が普及していない時代で、秋田の自然環境の良さが肌に表れていたからだと考えられます。

まだ「光老化」という言葉が生まれていなかった時に、まさに、紫外線と乾燥による肌の老化に及ぼす影響が証明されていたということです。

しかし、現代の私たちは、日焼けが肌に悪いということを、美容雑誌などを通じて、幅広く認識しており、日焼け止め化粧品も充実し、一年を通じてエアコンの効いた中で生活するために、紫外線や乾燥が肌に及ぼす影響が少なくなって、現在は美人に地域差はないといえるでしょう。

美人と美人顔

あなたにとって、美人と美人顔は同じだと思いますか?

私が教えている女子大一年生の、年齢が一八歳、一九歳の生一三五名と、あるセミナーに集まっていただいた年齢が二O歳から五O歳の一般女性一三O名を対象に、事前に美人と美人顔から連想する言葉を用意して、その中から、美人だと思う言葉、美人顔だと思う言葉を選んでいただきました(複数回答) 。

美人の条件

美人について、学生の答えは第位が「顔立ちのきれいな人」で六四パーセントと最も多く、第二位が「凛としてキラキラ輝いている人」と「品がある人」が同じ三五パーセントでした。

一方、一般女性では、第一位が「漂としてキラキラ輝いている人」が四五パーセントで、第二位が「笑顔が素敵な人」で三六パーセントという結果が出ています。

面白いことに、学生は外観にこだわり、一般女性は内面を重要視しています。

学生が外観にこだわるのは、これはこれで、この時期には大切なことかもしれません。

内面は社会の経験を積めば自然についてくるものだからです。

ただし、美人とは外観だけに留まるものではないことも如実に現した、面白い結果です。

昔から美人の例えとして、「立てば巧薬、すわれば牡丹、歩く姿は百合の花」といわれています。

あなたはこの三つの花からどのような女性を想像されますか。

美しいすらりとした女性が、すわっても華やかさがあり、歩く姿は清楚で控えめな可憐さを感じさせる様子でしょうか。

美人とは決して外観にとどまるのではなく、言葉遣い、所作、雰囲気など、すべての要素が関係しているのではないかと思います。

美人顔の条件

美人顔のアンケートでは、学生の第一位は「各パーツの配置バランスが整っている」が七三パーセント、次に「素肌がきれい」が一三パーセントでした。

それに対し一般女性では、「各パーツの配置バランスが整っている」が五八パーセント、「素肌がきれい」が五五パーセント、「内面からしみ出る美しさやオーラがある」が五三パーセントと、この三つの間にはほとんど差がありませんでした。

美人顔においても、学生は圧倒的に顔の造形にこだわるのだけれども、一般女性では造形に加え、素肌や内面からくる雰囲気を重要視しています。

美人顔には、ゴールデンプロポーションというものがあって、理想的な美人の顔型とそれぞれのパーツの配置に理想の比率があります。

顔型はたまご型で、あご先から額の生え際の間に眉と小鼻がそれぞれ三分の一の位置にあり、目の位置は額の生え際から口角までの二分の一、目幅は顔幅の五分の一、眉の長さは目頭の真上から小鼻と目尻を結ぶ延長線上までとするなど、細かく決められています。

それに近づけるために、メイクテクニックがあり、陰影の入れ方や、それぞれのパーツの入れ方に工夫が生まれるのだそうです。

詳細は、メイクの専門書などに書かれているので、そちらを参照してください。

ただし、前述したように、外観だけの美人は決して魅力のあるものではありません。

実際に表情のない女性の顔をゴールデンプロポーションにパソコン上で加工したものと、同じ顔で笑顔がある写真を比較してもらうと、十人中十人が表情のあるほうが美人と答えます。

表情があるからこそ、人の顔はしいのです。

清少納言の『枕草子」の第三二一段に、「人の顔にとりっきてよしと見ゆる所は」という部分があります。

「人の顔にとりっきてよしと見ゆる所は、日ごと見れど、あなをかしと見ゆれ。絵などは、あまたたび見つれば、目も立たずかし。近く立てる扉風の絵などは、いとめでたけれど、見もやられず。人のかたちは、をかしうこそあれ。」

すなわち、「人の顔でとりわけ良いと見えるところは、毎日見る場合でも、ああかわいいなと思える。絵などは何度も見ると目を引かなくなる。身近に立っている扉風の絵などは大変すばらしいけれども、見入ることはない。人の容姿は面白いものである。」という内容です。

これこそが表情のある人の顔の素晴らしきで、三日で飽きるという造形だけの美人顔ではないということです。

特に表情の中で、その人を美しく、愛らしく見せるのが笑顔で